相続が開始すると、相続人が複数いる場合には、基本的に相続財産全体を共同で相続した
ことになります。このような共有関係は、遺産分割協議によって整理することができます
が、共同相続人間で話合いがまとまらない場合には、調停を申し立てることができます。
司法書士は、家庭裁判所への調停申立書作成により支援を行っています。
調停手続では、裁判官と調停委員が、当事者双方から事情を聴いたり、必要に応じて資料
等を提出してもらったり、遺産について鑑定を行うなどして事情をよく把握したうえで、
各当事者がそれぞれどのような分割方法を希望しているか意向を聴取し、解決案を提示し
たり、解決のため に必要な助言をし、合意を目指し話し合いが進められます。
話し合いがまとまらず調停が不成立になった場合には、自動的に審判手続きが開始され、
家事審判官(裁判官)が,遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職
業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、審判をすることになります。
■遺産分割方法
1.指定分割
被相続人が遺言によって指定した分割方法で、まずはこちらが最優先されます。
2.協議分割
共同相続人全員の協議により行う分割方法です。
全員の参加と同意が必要で、一部の相続人を除外したり、無視をした場合は、協議は無
効になります。結果的にどのような内容の分割になっても、お互いの意見が一致して決
定した分割であれば協議は有効です。
3.現物分割
物ごとに遺産をわける方法です。例えば、「預貯金は相続人Aに土地と家は相続人Bに
株式はCに」といった方法です。ややこしい分割手続きが簡素化できるという利点があ
りますが、現物分割では、各相続人の相続分を均等に分けることは難しく、相続人間の
取得格差が大きくなることもあります。その際は、その差額分を金銭で支払うなどして
代償を付加したりもします。
4.換価分割
遺産を売却して現金に換えて、その現金を分割するという方法です。
公平に分配されることが明確なので、後でトラブルになりにくいという利点があります
が、不動産を換価分割した場合、譲渡税の負担が大きいことから、不動産の価値がない
何としてでも現金が欲しいなどやむを得ない場合にのみ使うべきです。
5.代償分割
特定の相続人が自分の相続分以上の財産をもらうかわりに、ほかの相続人にはその代償
として金銭を支払うという分割方法です。
たとえば相続財産が、不動産や同族会社の株式などのように、相続分に応じて現物分割
したり、売却して換価分割することが難しい(または好ましくない)場合に用いられま
す。また代償分割は、相続税の節税や相続人間の税負担を公平にするための方法として
も使われます。
※遺産分割の話し合いがまとまれば、必ず遺産分割協議書を作成しておくように
しま しょう。
後日のトラブル防止の意味合いもありますが、遺産の中に不動産があった場合、
所有権移転の登記の際に必要となりますし、預貯金を引き出す場合にも必要と
なるケースがあります。
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